ぼくはオンボロのバスに乗っていた
シートががたがたで、道も悪いものだから、揺れがすごい。
つねに何かにつまずきながら進んでいるようで、ガタガタゴトゴト跳ねるように走っていた。
車窓からは美しい田園や草原、森や山が見えて、すぐ後ろに流れていく。
遠くを見ていると揺れも気にならない。

どうやらここは漢字圏の国のようで、なんとなく台湾だった。
そして、目的地は『いと』という場所らしい。
漢字では『伊都』というらしい。

やがてバスはある駅のような場所についた。
看板を見ると、ここが伊都であった。
いつのまにかバスの姿はなく、ぼくはホームにいた。

そこに、大きな帆船が停泊している。
水はないのに、電車が停まるようにまるで普通に帆船があった。

ぼくは帆船にのりこむ。
すると、なぜか知ったような人たちがいた。

ぼくらは帆を立てたり、手で空をあおいだりすると、帆船はゆっくりと上昇した。
一生懸命に手であおぎ、帆で風を捉えると、船は空に飛び上がった。

美しい山々を見下ろして、風をうけながらスピードをあげて飛んでいく。
この船での飛行は何かの挑戦らしく、みんな頑張って飛ばしている。

どうやら遠くに見える山の頂上が目的地らしい。

船が大きく弧を描いて湖の上を飛び、草原のはるか上空をすべっていく。

そのとき、ぼくはふと船の全貌を外から見たくなった。

手であおぐのも疲れてきたので、厨房からしゃもじを二本もちだして、両手にもち、しゃもじで泳ぐように手をふると、飛べることがわかった。

ぴょんと飛び出して滑空すると、きもちよくスピードがあがり、みるみるうちに船から遠ざかった。

ちょっと遠くまで飛びすぎたか!?
みるみるうちに船が小さくなり、ついには見失ってしまった。

ぼくはとおくまで飛んでしまい、高い木の頂上に止まった。
下を見下ろすと高くて足がすくむ。

怖いけれど、ゆっくりと木がらジャンプし、しゃもじで風をとらえて飛ぶことができた。

そのあとも、高い建物やグラウンドのネットの上などに着地しながら、遠くに見える目的地の山まで飛んで行った。

ああ、しゃもじじゃなくて団扇でもあったら楽だったのに。となんども思った。


ついに山の頂上につくと、そこには伊都の駅と同じような建物があった。
しかし、とても古くてボロボロで、コンクリートはひび割れて、蔦がたくさん絡まっている。

そこに船は停まっていた。
しかし、船もぼろぼろで、帆はやぶれ、あちこち壊れている。
チームの皆は無事で、疲れているのにも関わらず笑顔で迎えてくれた。




そのあとは、場面展開が多く、いろいろな場所にいったり、過去に会った人が現れたりしたが、あまりストーリーは繋がっていなかった。

夢のなかで訪れた場所の地名を覚えていることなんて珍しいので、『伊都』というのを調べて見たが、とうも台湾にはそんな地名は見当たらなかった。

とても美しいところで、いつか行って見たかったんだけどなあ。